強制バラン製作記 (2)
前回作成したバランは性能がイマイチでした。
今回は前回の課題点を考え、もっと高性能なバランを作成していきます。
前回のバランの問題点
バランの性能が低い理由として考えられるのは、
くらいでしょうか。
まずは1つ目。「コイルの巻き数」に関してです。
多くの本やブログなどでは7~9回巻きが推奨されていますので、大きな性能の悪化の要因ではなさそうです。
どちらかというとUHF帯よりもHFやVHF帯に適した材質のものを使用しているので、これも要因ではなさそうです...
それでは3つ目の「コイルの巻き方」はどうでしょうか?
トリファイラ巻きをしたはいいものの、被覆線同士が完全に密着しているわけではありません。バランの作成記事はたくさんありますが、完成した写真はすべて、導線が密に巻いてあります。
回路図を眺めただけでは3つのコイルが電磁誘導を起こしているだけなので、トロイダルコアのまわりに3つ巻けば完成しそうなバランですが、これらはある程度密着していなければならないのでしょうか?
コイルを疎に巻いたバランの試作
それでは、3つの導線を完全にバラバラにして、等間隔に巻き直してみます。
もちろんコアの素材は同じです。
さて、このバランの性能を計測してみましょう。
前回のバランと比較するとこんな感じ。
前回 | 今回 | |||
周波数 [MHz] |
VSWR | インピーダンス [Ω] |
VSWR | インピーダンス [Ω] |
1.8 | 1.1 | 50 | 1.6 | 49 |
3.5 | 1.06 | 51 | 1.3 | 50 |
7 | 1.12 | 57 | 1.2 | 57 |
14 | 1.47 | 73 | 1.5 | 70 |
21 | 1.7 | 92 | 1.75 | 90 |
28 | 2.1 | 100 | 2 | 100 |
50 | 3.5 | 80 | 3.4 | 95 |
144 | 5 | 250 | ∞ | 250 |
大差はないですが、微妙に今回のほうが性能が悪い...
ちなみにオシロスコープで波形を取ってみると...
バランとしての機能はちゃんと果たしていました。
ちょっとだけ位相がずれているのは気になるけど...
次回はエナメル線を用いてもっとしっかりと働くバランを作成します!